○鮭川村環境基本条例

平成14年12月26日

条例第24号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策等(第8条―第31条)

第3章 環境の保全及び創造に関する施策の推進体制等(第32条―第34条)

附則

(前文)

私たちのふるさと鮭川村は、中央部を南北に清流・鮭川が貫流し、この鮭川と緑豊かな山々からの恩恵により、やさしさと人情味あふれる豊かな農耕文化を築いてきた。

近年の大量消費を基調とする社会経済活動の急速な進展は、私たちの生活の利便性を高めてきたものの、清流・鮭川をはじめとした自然の生態系に影響を及ぼし、さらに、人類の存続の基盤である地球環境をも揺るがそうとしている。

このような状況の中、このふるさと鮭川村の健全で恵み豊かな環境の下、健康で文化的な生活を営むことは、村民の権利であり、私たちは、清流・鮭川を中心とした環境を守り、育て、将来の世代に継承していくべき責務を有している。

このため、私たちは、清流・鮭川に魚が群れをなし、川面に鮎の香りが漂い、岸辺には蛍が飛びかう美しい鮭川村を将来にわたり継承してくため、村民、事業者及び行政が相互に協力しあい、環境の保全及び創造に関する取り組みを進めることを宣言し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全及び創造について、基本理念を定め、並びに村民、事業者及び村の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来における村民の、健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「環境の負荷」とは、人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

2 この条例において「地球環境保全」とは、人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、酸性雨、海洋や河川の汚染、野生生物の種の減少、熱帯林の減少、砂漠化その他地球全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに村民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

3 この条例において「公害」とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその育成環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全及び創造は、自然の復元能力には限度があること、並びに本村の緑豊かな山々や鮭川その他の恵み豊かな環境は、現在及び将来の村民の生活、産業及び文化を支える基盤であることから、これを慈しみ、育み、生かしながら、良好な状態で将来の世代に継承できるよう、適切に行われなければならない。

2 環境の保全及び創造は、資源及びエネルギーの利用の一層の効率化並びに汚染物質及び廃棄物等の排出量の削減に努めるとともに、生産から廃棄に至る一方向型の社会のシステムを改め、循環を基調とする社会を構築することその他の健全で恵み豊かな環境を推進しつつ、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら、本村社会の持続的な発展を可能とすることを旨として、すべての者の公平な役割分担の下に自主的かつ積極的に行われなければならない。

3 環境の保全及び創造は、現在及び将来の村民が、本村の優れた自然環境の恵みを受け続けるため、地域の特性に応じて多様な生態系が健全に維持されるよう配慮するとともに、人と自然との豊かな触れ合いを保ちながら、人と自然との調和のとれた環境が確保されるよう、適切に行われなければならない。

4 地球環境保全は、それが人類共通の課題であるとともに、地域社会における資源及びエネルギーの生産、流通、消費等と密接に関わりを持つことから、すべての事業活動及び日常生活において積極的に推進されなければならない。

(村民の責務)

第4条 村民は、前条に定める環境の保全及び創造に関する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、その日常生活に伴う環境への負荷の低減に自主的かつ積極的に努めなければならない。この場合においては、資源及びエネルギーの効率的利用、廃棄物の減量及び再生資源の利用の推進並びに購買行動における環境への負荷の少ない商品及び役務の選択に配慮するものとする。

2 村民は、環境の保全及び創造についての理解を深めるため、環境に関する学習及び教育の参加に努めなければならない。

3 前2項に定めるもののほか、村民は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に努めるとともに、村が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。

2 事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の生産及び製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合に、その適正な処理が図られることとなるように必要な措置を講ずる責務を有する。

3 前2項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の生産及び製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するように努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。

4 前3項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障の防止に関して必要な情報の提供に努めるものとする。

5 前各項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、地域社会の一員として、環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、村が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

(村の責務)

第6条 村は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に関し、本村の自然的社会的条件に応じた総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(法制上の措置等)

第7条 村は、環境の保全及び創造に関する施策を実施するため、必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。

第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策等

(施策の基本方針)

第8条 村は、環境の保全及び創造に関する施策を策定し、及びこれを実施するに当たって、基本理念にのっとり、次に掲げる事項の確保を旨として、総合的かつ計画的に行うものとする。

(1) 大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持されること。

(2) 生物の多様性の確保が図られること。

(3) 森林、農地、水辺地等における多様な自然環境が地域の状況に応じて適正に保全されること。

(4) 資源の循環的な利用、廃棄物の減量、エネルギーの効率的利用、地域の自然エネルギーの活用等を推進することにより、環境への負荷の低減が図られること。

(5) 鮭川水系の流域における環境について、総合的にその保全及び創造が図られること。

(6) 人と自然との豊かな触れ合いを確保するとともに、地域の特性が生かされた良好な景観の形成及び良好な景観を構成する歴史的文化的資産の保全を図り、快適な環境の保全及び創造が図られること。

(地域環境総合計画)

第9条 村長は、環境の保全及び創造に関し施策の総合的かつ計画的な推進を図るための計画(以下「環境計画」という。)を定めることができる。

2 環境計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全及び創造に関する目標

(2) 環境の保全及び創造に関する施策の方向

(3) 環境の保全及び創造に関する配慮の指針

(4) その他環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 村長は、環境計画を定めるに当たっては、あらかじめ鮭川村環境審議会(以下「審議会」という。)を設置し、意見を聞くものとする。

4 村長は、環境計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

5 第2項の規定は、環境計画の変更について準用する。

(状況報告)

第10条 村長は、報告の必要が認められるとき、環境の状況並びに村が環境の保全及び創造に関して講じた施策の状況等に関する報告書を作成し、公表するものとする。

(施策の策定等に当たっての配慮)

第11条 村は、環境に影響を及ぼすと認められる施策又は計画を策定し、及び実施する際には、これらの施策又は計画と環境計画との整合を図り、環境の保全及び創造について配慮しなければならない。

(環境影響評価の推進)

第12条 村は、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者が、その事業の実施にあたりあらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測及び評価を行い、その結果に基づきその事業に係る環境の保全について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(環境の保全上の支障を防止するための規制の措置)

第13条 村は、公害を防止するため、公害の原因となる行為に関し、必要な規制の措置を講じなければならない。

2 村は、自然環境の保全を図るため、自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し、必要な規制の措置を講じなければならない。

3 前2項に定めるもののほか、村は、人の健康又は生活環境に係る環境の保全上の支障を防止するため、必要な規制の措置を講ずるように努めるものとする。

(環境の保全上の支障を防止するための誘導的措置)

第14条 村は、村民又は事業者が自らの行為に係る環境への負荷の低減のための施設を整備する等適切な措置をとることとなるように誘導するため、必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(化学物質の適正管理)

第15条 村は、人の健康又は生活環境に影響を生じさせるおそれがある化学物質の環境中への排出を抑制するため、事業者の当該化学物質の適正な管理に関し、必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(環境の保全上の支障を防止するための施設の整備等の推進)

第16条 村は、環境の保全上の支障の防止に資する公共的施設の整備その他の環境保全上の支障の防止に資する事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(水と緑の保全及び創造)

第17条 村は、生活環境を豊かで快適なものとするため、水辺地及び緑地の保全及び創造に関し、公園、緑地その他の公共的施設の整備その他の自然環境の適正な整備及び健全な利用を図るための事業の推進等に関し、必要な措置を講ずるものとする。

(野生動植物の保護等への配慮)

第18条 村は、生物の多様性の確保に資するため、野生動植物の保護及びその生息地又は生育地の保全に配慮し、必要な措置を講ずるものとする。

(景観の保全及び創造等)

第19条 村は、地域の特性を活かした快適な生活環境の保全及び創造を推進するため、良好な景観の形成及び良好な景観を構成する歴史的文化的資源の保全に関し、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(環境美化の推進)

第20条 村は、地域の美しい環境を保全するため、ごみの投棄及び散乱の防止、美観を損ねる屋外における物の保管の防止について、必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(里山の環境保全の機能等の維持)

第21条 村は、里山が有する環境の保全及び創造に資する多様な機能の維持及び推進を図るため、必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(環境保全型農業の促進)

第22条 村は、農地が有する環境を保全する機能を維持するため、有機物資源を活用した土づくり、化学肥料及び農薬の使用低減、使用済みの農業用資材の適正な処理等の環境への負荷を低減する営農活動の促進に必要な措置を講ずるものとする。

(資源の循環的な利用等の促進)

第23条 村は、環境への負荷を低減するため、村民及び事業者による資源の循環的な利用、廃棄物の減量及び再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、製品、役務等の利用が促進されるように必要な措置を講ずるものとする。

(エネルギーの効率的利用等の促進)

第24条 村は、環境への負荷の低減を図るため、村民及び事業者によるエネルギーの効率的使用及び地域の自然エネルギーの活用が促進されるように必要な措置を講ずるものとする。

(調査の実施等)

第25条 村は、環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するため、公害の防止、自然環境の保全、地球環境の保全、快適な生活環境の創造その他の環境の保全及び想像に関する事項について、調査の実施等に努めるものとする。

(監視、測定等の体制の整備)

第26条 村は、環境の状況を把握し、並びに環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するために必要な情報の収集、監視、測定等の体制の整備に努めるものとする。

(環境への負荷の低減に資する産業の育成)

第27条 村は、環境の保全及び創造のため、環境への負荷の低減及び快適な生活環境の創造に資する技術、システム等の普及を促進するとともに、環境への負荷の低減及び快適な生活環境の創造に資する産業の育成等に関し、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(地球環境保全の推進)

第28条 村は、村、村民及び事業者がそれぞれの役割に応じ、かつ、相互に連携して地球環境保全に資するよう行動をすることを促進するために必要な措置を講ずるものとする。

2 村は、村民、事業者及びこれらの者の組織する団体(以下「団体等」という。)、国、県、他の地方公共団体その他関係機関等と連携し、地球環境保全に関する協力活動の推進に努めるものとする。

3 村は、第2項に定めるもののほか、地球環境保全に関する施策の推進に努めるものとする。

(環境の保全及び創造に関する教育及び学習の振興等)

第29条 村は、村民及び事業者が、環境の保全及び創造について理解を深めるとともに、これらの者の環境の保全及び創造に関する活動を行う意欲が増進されるよう、関係機関と協力して環境の保全及び創造に関する教育及び学習の振興その他の必要な措置を講ずるものとする。

(民間団体等の環境保全活動の促進及び支援)

第30条 村は、団体等が自発的に行う緑化活動、再生資源に係る回収活動その他の環境の保全及び創造に関する活動が促進されるよう、支援、助言その他の必要な措置を講ずるものとする。

2 村は、事業者が行う環境管理(事業者が、その事業活動の実施に当たって、自主的に環境の保全及び創造に関する方針及び目標を定め、その方針及び目標を達成するための計画を策定し、その実施状況を点検して必要な是正の措置を講じ、並びにこれらについて客観的な監査を行う一連の取り組みをいう。)について、その普及及び事業者への支援等に努めるものとする。

(情報の提供)

第31条 村は、環境の保全及び創造に関する教育又は学習の振興並びに団体等が自発的に行う活動の促進に資するため、個人及び法人の権利利益に配慮しつつ、環境の状況その他の環境の保全及び創造に関する必要な情報を、適切に提供するように努めるものとする。

第3章 環境の保全及び創造に関する施策の推進体制等

(村民等の連携体制の整備等)

第32条 村は、環境の保全及び創造に関する施策について村民、事業者及び団体等の意見を反映させる機会の提供に努めるとともに、村民、事業者及び団体等と協力して各種の施策を推進するための連携体制の整備に努めるものとする。

(国及び他の地方公共団体との協力)

第33条 村は、国及び他の地方公共団体と連携し、及び協力して、環境の保全及び創造に関する施策の推進に努めるものとする。

(鮭川村環境審議会)

第34条 村は、審議会を置くものとする。

2 審議会は、次に掲げる事項を審議する。

(1) 地域環境総合計画に関し、第9条第2項に規定する事項に関すること。

(2) 環境の保全及び創造に関する重要事項に関すること。

3 前項に定めるもののほか、審議会の組織、事務及び委員その他審議会に関し必要な事項については、別に定める。

この条例は、平成15年1月1日から施行する。

鮭川村環境基本条例

平成14年12月26日 条例第24号

(平成15年1月1日施行)

体系情報
第8編 生/第4章 環境保全
沿革情報
平成14年12月26日 条例第24号